お知らせ
本校では、「体験から学び、考える力を育む」ことを大切にしています。理科の授業でも、実験や観察を通して、生徒自身が“自分の目で確かめ、自分の頭で考える”学びを積み重ねています。
中学1年生では生物分野の学習を中心に行っており、今回はニワトリの脳の解剖実習を実施しました。独特なにおいに驚く生徒もいましたが、次第に真剣な表情で観察に取り組み、鳥類の脳の特徴を丁寧に探っていきます。鳥類は飛翔に特化しており、視覚情報を処理する能力が高いため、眼球と視神経の太さの比率が哺乳類とは大きく異なることに気づきます。さらに、大脳や小脳の構造の違いから、生物の進化や機能の多様性にも関心を広げていきました。
この実習は単なる生物の観察にとどまりません。理科の授業から発展し、「生命倫理」や「臓器移植問題」にも考えを深めていきます。総合的な学習の時間では、臓器売買や臓器移植を目的とした人身売買、渡航移植(移植ツーリズム)といった国際的な課題にも触れ、2008年に採択された「イスタンブール宣言」(倫理的な臓器移植を推進する国際宣言)についても学びます。
さらに、脳死や移植、再生医療など、正解のない問いに対して、自分の意見をもって対話できるよう、授業が丁寧に設計されています。
一つの教材から科学的な理解だけでなく、「生命を尊重する心」や「多様な価値観を認め合う姿勢」を育む——それが本校の理科教育の目指すところです。中学生という時期だからこそ、目の前の体験から「考える力」を育てています。



